第92回例会報告
成長戦略を支える、IT部門の”トランスフォーメーション”
社会、産業、生活すべてにおいて、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が浸透していく「大転換期」の真っ只中で、IT部門はどのようなトランスフォーメーションを自ら実践していくのか?
唯一の正解は勿論ありませんが、過去~現在~未来への道程を俯瞰しながら、ビジョンづくり、テーマづくり、人と組織づくりに関する取組みを交え、製造業の視点から、成長戦略を支えるこれからのIT組織の役割とあり方についてご紹介頂きました。
昨今DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が取り上げられている。その中で、重要なのは(デジタルよりも)トランスフォーメーションだろう。
そして、言葉としては、「トランスは変える」「フォームは形」であるといえる。
カシオ計算機のトランスフォームは、当社の強みとなる技術と市場との共創の中で生まれてきた。
■ カシオ計算機のトランスフォーメーション
カシオ計算機としても、G-Shockを中心として時計事業が中心であるが、他の分野にもトランスフォームしている。
具体的には、関数電卓をベースとした教育事業をグローバルに展開、カメラ技術を応用し医療分野において、患部の接写などである。
■ IT部門のトランスフォーメーション
IT部門の歴史としては、2000年からの社外WEB基盤の拡充、2004年頃から標準業務システムなどに取り組んでいる。
2000年以前は個別最適であった
その後、標準業務システム・ITインフラ・社外WEB基盤・グローバルデータ統合などを経て、全体最適化した。
また、グローバルデータ統合など、現在も連携し進化している最中である。
その中で、組織体型も分散型→連邦型→集権型と組織体型が推移してきた。
IT部門の役割についても、その定義をし続けている。
中心となるのは、事業貢献テーマの推進というものである。
具体的には、製品開発の強化・データ統合・ワークスタイル基盤の活用、ERP刷新などだ。
そして、「情報を極め、すべてのユーザを最高の結果へ導く、エンジンに!」というミッションのもと情報開発部を推進した。
また、IT部門にしかできないこともある。
それは、会社全体のシステム群を、ユーザ視点を忘れず、事業モデルの変革と成長に不可欠な新たな構造(アーキテクチャ)へ進化させていくことである。
モノだけを売るバリューチェーンだけでなく、顧客へのサービスレイヤーが重要となる。そのために企画段階からIT部門が参画するようにしている。
具体的な取り組みとしては、時計のIoT基盤、共通プラットフォーム、ユーザID管理基盤、モノづくり基盤のプラットフォームなどである。
これらをベースに、お客様像を可視化する取り組みをしている。
そのためには、フロントのSoEシステムとバックエンドのSoRシステムをシームレスに融合した。
また、需要と生産計画を最適化するためにPSI計画システムも構築した。
組織と人財の活性化では、次世代開発環境の構築とともに検討している。
それは、最良なモノづくり環境をベースに実験的に行っていこうと思っている。
また、人財の交流も重要で、社内・社外パートナーとの積極的な交流について取り組んでいる。