第7回例会報告:「ベンダー側の行動を知ろう」

第7回例会報告

10月20日に第7回システムイニシアティブ研究会(例会)が開催されました。 今回のテーマは「ベンダー側の行動を知ろう」。 ユーザーとベンダーはパートナーシップを組むべきなのですが、うまくいってない場合も多いようです。 今回は、ユーザーがベンダーの行動を知り、どうすればうまくパートナーシップを組めるかを議論しました。 今回の講師はベンダー側のお2人ですが、日本のIT業界をよくしたいという思いから、 ユーザー企業には知られたくない、話しづらいことも、あえてお話くださいました。

icon-check-square-o 「TOP営業が語るCIO攻略法」

最初の講師は、インフォテリア株式会社の油野さん。IT業界の営業として25年、自他共に認めるTOP営業です。油野さんからは、今のIT業界の営業の動向と、CIOが気をつけるべきこと、CIOに求めることをお話いただきました。
「営業というと、見積もりと請求書を持ってくるだけと思われ、軽視されがちだが、『提案営業』と呼ばれる人たちの話はもっと聞くべき。」と油野さんは言います。なぜなら

  • たとえ若くても、彼らは「経験」を重ねている。 大きなシステム導入は、ユーザーは4年に1回ぐらいしか経験しないが、 営業は年に4-5回は提案している。
  • 他業種を知っている。 たとえば、製造業のシステムでも、物流に関しては流通業のノウハウを盛り込んだ提案ができる。

と、納得のお話。

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営業が「惚れる」CIOとは

  • 会社のために一生懸命な人
  • ベンダーをパートナーとして扱う人 特に若手の営業を大事にする人。若手営業はお客様に育てられるから。
  • 最後に泥をかぶる勇気をもっている人。

=システムイニシアティブをとる人。 ツール選定を人任せにしないで、直接CIOがツールベンダーに問い合わせる。
そういう人を営業は全力で支えたくなるとか。

日米のCIOの違い

米国には代理店がなく、CIOが直接パッケージベンダーに直接連絡し、自ら選定、調達するのが一般的だそうです。 一方、日本はベンダーを呼んで「検討」するのがCIOの仕事になっており、RFPまで外注する場合もある。 ただし日本でも最近は米国型のCIOの動きをする人が増えてきているそうです。 その他、モラルのないユーザーに泣かされた事例など、本レポートには掲載できないお話もたくさん。 軽妙な語り口ながらずばりと本音を言っていただき、参加者がそれぞれの立場で我が身を振り返る機会となりました。

icon-check-square-o 「システム開発プロジェクト受注へ向けたソフトウェアベンダーの行動」

次は、アカマイテクノロジーズ合同会社の堀野さんです。 堀野さんからは、ベンダーのマーケティング部門が、ユーザーにどのようなアプローチを するのかをお話しいただきました。 ユーザー企業にとっては、ベンダーのマーケティングは営業と違って直接会う機会が少ない分、 どんなことをしているか見え難いのではないでしょうか。 講演では、マーケティング部門が行うさまざまな活動が、営業につながっていく流れが紹介されました。 不要な電話などがかかってこないよう、セミナーなどで個人情報を渡すのを 断ればいいのだけれど、一方で最新の情報もベンダーからもたらされるもの。 ベンダーからの情報提供を一切遮断するのももったいない話です。 製品の売り込みだけでなく、業界の動向や他社の事例なども提供されるので、 情報をうまく使い、「本当に話を聞きたい」と思ったら、自らベンダーに問い合わせる。 ユーザーからの直接の問い合わせは「わかっている人が来た!」とベンダーにとっても うれしいことだとか。

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icon-check-square-o CIOがしっかりすること

講演の後のディスカッションでは、ベンダーとユーザーが対等な関係になるには、
ユーザーがきちんと構えて、システムがわかるだけでなく、自社の業務をわかっている ことが重要。CIOが意思決定をし、経営者からの権限委譲を得ることが必要だ、ということが いくつかのグループで共通の話題として出たようです。 辛辣な意見もありましたが、講演とディスカッションを通じて「がんばらなければ」と 思われたシステム部門の方が多かったようです。 予算取りの問題など、システムイニシアティブをとるために解決しないといけない課題なども具体的に見えた会でもありました。 今回の資料はこちら。
 

吉田太栄(システムイニシアティブ研究会事務局)

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